東京・下町、荒川区南千住八丁目「汐入の秘密!」 

東京・下町、南千住八丁目「汐入の秘密」

懐かしの街と呼ばれた「汐入」、実は越後の武士が開墾した土地だった…

昔、山谷地域に隣接する場所に汐入と呼ばれた場所があったのを知っていますか?
東京・下町で昔の佇まいを残す数少ない場所だった…。
しかし、再開発が進んだ平成の現在では、汐入の名は公園やバス停名などに残るだけになり昔の面影は皆無に等しい。

東に沿って流れてきた隅田川が、南西に大きく曲がる辺り、その隅田川に半円状に囲まれた島のような特別な場所。そこが南千住八丁目、汐入と呼ばれた場所。

 ↓ 江戸時代の南千住周辺の古地図
江戸時代の南千住周辺の古地図
"Google Earth"から汐入の場所を探すのは簡単だ。東京湾から荒川放水路を北上、接近する隅田川のトトロの左耳に似た半円状の内側がその場所だ。
汐入は、「懐かしの街」とか「思い出の町」などといわれたユニークな場所で、昭和の時代まで交通といえば都バス(上46系統)が一本だけ通う、行き止まりの交通の便の悪い場所だった。「東京のチベット」だと揶揄されることもあった。

 ↓ 明治時代(上)と昭和の時代(下)の南千住駅周辺の地図
明治期の南千住駅周辺
昭和の南千住駅周辺

【汐入の歴史】
汐入は関東大震災や東京大空襲からも難を逃れたため、平成の初めの再開発までは東京では珍しい江戸時代から大正時代の古い建物が残っていた。曲がりくねった農道は江戸時代からの農家の面影を偲ばせ、隅田川に囲まれているため夏でもエアコンが必要なかったとか。
近代は、「大日本紡績(現ユニチカ)」や「鐘淵紡績(現クラシエ)」の工場が存在、後に大きな自動車教習場、ゴルフ練習場からボーリング場まで出来た。そういえば、都内の公園では珍しい無料のローラースケート場もあって、スケボーも怒られなかった。

汐入の曲がりくねった農道の名残
 ↑ 「汐入の曲がりくねった道」は数百年の歴史ある農道の名残だった

土を盛ってまわりを石で固め、地盤を高くした汐入の古い家は、度々起こる洪水に対する人々の工夫で、昔の汐入の農家の名残だった。このような民家は隅田川沿いには他になかったという。
荒川区議会議員の小坂英二氏によると、汐入にかつてあった超100年の木造農家の作りである「旧高田邸」が解体されて保存されているということです。
この建物の特筆すべきは、越後の武士の住まいの造りの名残があって、関東の農家とは違う特徴があるそうだ。例えば、汐入の名の通り、毎年のように起きる水害をしのぐため中二階の構造があり、水が出た際には、家財道具をそこに上げる構造になっていて、軒裏に船を吊った跡など、船の櫓が梁の上に渡してあったらしい。

地盤を高くした再開発前の古い家
 ↑ 「地盤を高くした汐入の伝統的な農家の造り」左側に共同水栓が見える

 ↓ 再開発直前の汐入を足立区側の高層マンション上から望む(平成2年12月)
1990年 再開発直前の汐入

【汐入の秘密】
①汐入は越後の武士が開発した土地(?)
1561年(永禄4年)8月。川中島の合戦で敗れた上杉謙信が家臣「高田嘉左衛門(かさえもん)」らが落人となり、「自ら刀を抜いて人は斬ってはならぬ」と刀と鎧兜を汐入の地中深く埋め、葦が群生する荒地を開墾したという伝承がある。彼らは皆、高田の氏(うじ)を名乗り農民となってコミュニティーを構成、「汐入28軒」と呼ばれるようになった。地元の胡録神社は、高田家ゆかりの神社であり、平成12年4月の再開発時に現在の場所に遷座された。刀と鎧兜が埋められたとされる言い伝えから本殿脇に「刀塚」が祀ってある。実は再開発の時に伝承の場所を掘り起こしたというが刀と鎧兜は結局見付からず仕舞いだったという。

胡録神社の本殿

胡録神社の境内にある刀塚
 ↑ 「胡録神社の本殿」上と「神社の境内ある刀塚」下 

②汐入の産業は、農作物と京都などへ輸出した「胡粉(ごふん)」の生産だった(?)
汐入は、江戸の町へ野菜(蔬菜)を供給する近郊農村で、特に「汐入大根」は有名だった。他に漬け菜、生姜、、葱、茄子、南瓜、冬瓜(とうがん)慈姑(くわい)など昭和の時代まで“あらかわブランド”として生産されていたとう。
また、大正時代に作られた共同水栓が日常使われていた路地の角には、昔、牡蠣殻を挽いていたという石臼があちこち無造作に置かれていた。その石臼は、日本画や日本人形の絵付けに使われる顔料、胡粉(ごふん)を作るためのものだった。汐入の胡粉はきわめて良質なものとされ他国へ、遠くは京都までも輸出されるブランド品だった。

胡粉を挽いていた名残の石臼
 ↑ 「胡粉作りの牡蠣殻を挽いていたという石臼」細い道の角に無造作に置かれていた  

汐入と胡粉の関係を今に伝える襖絵
 ↑ 「汐入と胡粉の関係を今に伝える襖絵」白い小山状のものが胡粉の原料の牡蠣殻

胡粉作りを偲ばせる版木
 ↑ 「その昔の胡粉作りを偲ばせる版木(はんぎ)」 京都の文字も見える 

③かつて水神橋のたもとにプライベート・ビーチがあった(?)
隅田川最後の渡し「汐入の渡し」は、現在の千住汐入大橋のたもと辺りに昭和42年まで残っていた。また、隅田川沿いにはかつて50余りの造船所があったが、汐入にも5、6軒あったらしい。再開発の前まで、たった一軒だが大正12年創業の造船所が残っていた。その造船所があったころ、隅田川の堤防はそこで切れ、プライベート・ビーチのような全長30㍍程の砂浜があった。その砂は、船の錆び落しの砂が長い間に堆積したものだったそうだが、残念ながら再開発のスーパー堤防が出来たため砂浜はなくなってしまった。

汐入の渡し
 ↑ 「隅田川最後の渡し 汐入の渡し」 は今の水神橋の近くにあった 

再開発で失ったプライベート・ビーチ
 ↑ 「汐入にあったの30㍍程の砂浜(プライベート・ビーチ)」  

④隣接する南千住四丁目に天然温泉が(?)
数年前、高層マンションを建設中に良質な温泉が湧き出し、「南千住天然温泉」と名づけられた。源泉の温度は28.5度。ナトリウム塩化物・炭酸水素塩温泉は、無臭で浴槽の底が見えない程の黒褐色の黒湯である。黒湯は鎌倉の辺りから東京湾岸に沿って温泉脈が広く分布してるらしいが、火山性の温泉とは異なり、古生代に埋もれた草や木の葉の有機成分であるフミン酸(腐植質)が地下水に溶け込むことで出来た温泉だ。泉質は、有機成分の他に、重曹、メタケイ酸などが含まれているので体の芯まで温まり、浴後も湯冷めしないのが特色である。さらに重曹の働きで肌がさっぱりとしてスベスベ感が残る特色がある。残念ながら共同住宅と有料老人ホーム専用温泉施設なので、入居者以外は入ることが出来ない。ただし、マンション公開空地内には「足湯」の施設もあって住民でなくても誰でも利用出来る。

南千住天然温泉の屋内浴槽
 ↑ 「南千住天然温泉の屋内浴槽」ガラス越しに露天風呂が見える

南千住天然温泉の足湯 ①
 ↑ 南千住4丁目の公開空地上にある足湯 ≪現在は閉鎖されている≫

南千住天然温泉の足湯 ②
 ↑ 「南千住天然温泉」こちらの足湯は公開空地内なのでマンション居住者でなくても
   誰でも入ることが出来、南千住の人たちの憩いの場所となっている

再開発で建設された高層マンション
 ↑ 「南千住4丁目 ショッピングモール」から汐入方面を望む
   LaLaテラス南千住と再開発で建設された高層マンション群

BiVi南千住
 ↑ 「複合施設 BiVi南千住」 旧称Welship から見た南千住八丁目方面

【現在の汐入】
かつての汐入の地は、地主である高田一族より土地や家を借りている賃借人が絶対多数だったという理由で再開発の事業が進んだといわれています。再開発のため、高田一族の多くは汐入の特別な集合住宅に移り住むことになったということです。
平成20年代になると一段と再開発も進み地域は激変、高層住宅が立ち並ぶ子供連れ世帯や外国人の居住者が多く移り住む街に変貌した。少子化で廃校になるのが当り前の現代で、新たに小学校などが新設される地域は東京では珍しい。

再開発で建設されたマンション群
 ↑ 「再開発で建設されたマンション群」手前が都立汐入公園 

再開発により隅田川のスパー堤防に沿って作られた広大な「都立汐入公園」。都内の公園としたら珍しいバーベキューが楽しめる「バーベキュー広場」もある。荒川区で最も大きい都立公園で、 テニスコート、野球やサッカーも出来る多目的広場他野外ステージなどがある。 この大きな公園も災害時には、防災拠点にも早変わりするという。
また、水神橋の近くには、複合遊具が備えられた子供用のアスレチック広場もあり、開放的なスペースは親子連れに人気だ。

バーベキュー広場
 ↑ 「都立汐入公園内 バーベキュー広場」 

都立汐入公園の複合遊具場
 ↑ 「都立汐入公園内 複合遊具場」 

50年も前に汐入で野球などで遊んだ世代の私としたら、曲がりくねった農道はプロムナードロードに、砂浜は憩いのビーチとして残して欲しかった。そう思う人は多いのでは…?
ぜひ、解体された「旧高田邸」が汐入のどこかに移築されることを望んでいます。

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Economy Hotel HOTEIYA
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