「山谷」のカオサン化現象を考える 

 ~ 山谷の「カオサン化現象」 ~



“Sanya turning from laborer to tourist district”
  (山谷が労働者から旅行者の街へ方向転換)


 こんな表現が今、メディアを通じて世界に発信され続いている。'02のFIFA主催「サッカーワールドカップ」の際は、東京の外国語のパンフレットから差し替えられ地図上から消えた街の宿に、皮肉にも安い宿を求めて世界中から大勢のサポーターが集まってきた。その街こそが『山谷』だった。

 “Sanya turning from laborer to tourist district”
↑ 上の画像は、旧「南泉荘」の16人部屋(左)と「ニュー紅陽」の玄関受付(右) ↑

【連鎖するメディアの山谷表現】 上の英字新聞に掲載されたタイトルが、4年後にタイ国の風俗を取り上げている「GDIARY」(ジー・ダイヤリー)という雑誌の表紙にほぼ同じ表現で出ている。雑誌の中の本文には、“山谷カオサン化現象”ということばが初めて登場する。「山谷のカオサン化」の言葉はこの雑誌が日本のルーツと言えそうだ。

↓ 「ジー・ダイヤリー」2004年10月号
ジー・ダイヤリー 2004年10月号
 伝統文化と歴史を求め世界を巡る“チープな旅人”がバックパッカーだが、アジアを旅するバックパッカーは、カオサン・ロードを溜り場とし、旅の情報収集から格安航空券の取得、ビザの延長などをしてアジア各国を行き来する。それがバックパッカーの聖地と呼ばれる由縁だといわれている。

【では、なぜ山谷がカオサンなのか?】 カオサンとは、元々はタイ国のバンコックにある通りの名前「カオサン・ロード」を指す。およそ300メートルの通りには、格安のホテルやゲストハウスが密集している。カオサンの語源は、タイ語では米(こめ)という意味で、ここに米問屋が多かったことに由来するという。その後、米流通の拠点となったことで商人宿が発達した。余所者に寛容な安宿があったことが今のバックパッカーが集まる街になったルーツだ。

 一方山谷は、「浅草山谷町」と呼ばれていたことでも分かるように浅草の北の外れに位置し、お江戸の昔から薪代を払って長期で滞在する木賃宿や商人宿が集まっていた。お隣にあった新吉原遊郭とも密接な関係があったそうで、周辺の船宿や料亭などお座敷へ通う旅芸人や行商人が長期に滞在するたくさんの安宿があった。それがカオサンと共通する理由でもあると思う。
 2002年のW杯以降、山谷も外国人バックパッカーや似た格好で漫画やアニメ始めポップカルチャーなど日本独自の様々な文化を求め、日に日に安い宿に大勢集まってきたことから「山谷のカオサン化」と呼ばれてきたのである。

山谷の「カオサン化現象」

  「散歩の達人」2005年2月号に掲載の山谷特集のコーナーには、
↓ “山谷 カオサン化”計画進行中の文字が…
「散歩の達人」の山谷記事

【カオサン化反対を唱える者】 もいるのも事実だ。山谷の人たち、特に組織の中にいるひとたちの一部には「カオサン化反対」を唱える者もいることを承知している。昔、「山谷の新大久保化反対」という似たようなことを唱えていた人もいたが、町の集まりでの宴席で、同席していた区議に「これからは外国人宿泊者を増やしたい」と話していたら、反対側に座っていた役員から酔った勢いで「外人なんか駄目だ!」と腕を痛いほどに掴まれたことがあった。「外人」=「害人」という認識がまだまだ山谷の街の中にあるということを思い知った。

 しかし「カオサン化反対」を唱える者の多くは「誰かがそう言っている」と逃げ道を作っておいて、いかにも自分の考えではないような言い回しをする。「ズルいなー!それって」と思うこともあったりも。そんな人たちにカオサンへ行ったことがあるか尋ねると行っていない人ばかり。しかも“カオサン”が通りの名称だということさえも知らないみたいだ。それに加え、山谷に泊まる外国人がどんな宿泊客なのかを詳しく知らぬまま嫌悪感だけを抱いているような雰囲気だ。

 ある飲食店の若旦那に、「外国人という理由で宿泊拒否したら違法行為になる」という話をしたらとても驚いていた。その昔、北海道の宝石店で入店を断られた外国人旅行者が、裁判に勝訴したことを思い出した。旅館業法では、例えば伝染病患者など逆に断ってよい事項が決まっていて、仮に“ドヤ”と呼ばれる宿であっても外国人を断る理屈などどこにもないのだ。それは、パリやニューヨークの街でも同じことだろう。

【僕の持論】に過ぎないが、カオサンが舞台で“レオナルド・ディカプリオ”主演の映画「The BEACH」(ザ・ビーチ)がカオサンの負のイメージを既成概念化した原因ではないか?昔買ったDVDを見たら「カットされた“もうひとつのプロローグ”」というの特典映像のカットがあった。
 「東南アジアを訪れるバックパッカーが基点とする街」を歩くと、「安宿が並び、旅の情報が飛び交う」…、そして「人々が出会い、次の旅行プランを練る」とバックパッカーの街であることの状況描写からストーリーは始まり、カオサン通りの退廃的なイメージを強調するかの演出から、本編では、安宿の自室で血だらけの姿で自殺した薬物依存のバックパッカーの件など等、ショッキングな映像が続いてゆく。これは商業的に作られたただのお話だ。

 また、映画後半のバックパッカーたちの理想の聖地「パンガン島」の撮影は、映画公開前後に、環境破壊だと問題になったらしい。そういった映画の演出上の手法や撮影方法などからカオサンの悪いイメージだけが独り歩きして、山谷の住民の「山谷のカオサン化」否定論者に「害人(外人)反対論」を植え付けた元となったというのが僕の説だ。

↓「The BEACH」(ザ・ビーチ)のDVDのイメージ
The BEACH

 前出にゲストハウスという言葉があったが、「一体、宿(旅館)とゲストハウスのどこが違うのか?」と『ほていや』のお客に聞かれることがある。ネット検索すると、とある人は『ほていや』をゲストハウスだと言ってる人もいる。『ほていや』は、旅館営業の許可を取っている“簡宿”の施設なので、共同住宅のゲストハウスと違い、合法的に一泊単位の契約で何年でも継続宿泊可能だ。条件さえ整えば住所設定も柔軟に対応している。
 敷金・権利金・保証料・不動産仲介料も共益費から更新料もなく、しかもテレビなど最低限生活に必要な備品・設備があって掃除までしてくれる。もちろん保証人も必要ない長期滞在を建前とした施設なので、自らも『日払いの“ゲストハウス”方式』の宿と宣伝しているくらいだ。

 ゲストハウスとは、本来はバックパッカーなどを長期で滞在させる共同住宅のことを指しているらしいが、日本では、保証人を探すことが困難で、住宅を見付けることもむつかしい外国人を長期で泊めていたことから、通称「外人ハウス」と呼ばれていた。しかし、初期費用が少なく、保証人不要の手軽さから世間にあっという間に定着、そのころからフリーターや帰国子女など日本人の顧客の割合が外国人より多くなったことで「ゲストハウス」という呼び方が定着したそうだ。フジサンケイビジネスアイ紙によると、オークホテルを経営、オークハウス代表でもある山中武志社長が国内業界で初めてゲストハウスの名称を使ったらしい。

 話が長くなってしまったが、「労働者の街」の寄せ場機能が形骸化した山谷で、近い将来「福祉の街」と「旅人の街」を選択しなければならなくなった時に、僕個人としたら、福祉ビジネスが乱立するのではなく、いい意味での山谷「カオサン化」が一層進んで、街の中でお金が動き回り、山谷が活性化してゆける「旅行者の街」へゆっくりでも移行してゆければ大変結構な話だと思っている。山谷の人たちはどう思うんでしょうか?

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コメント

昨日朝までお世話になりました。今、自宅からです。常連客になって早一年。多少慣れてきたこともあって街の今を観察するようにしています。朝から道路にへたりこんで缶酒を飲んでいる人たちはやはり異様に映ります。南千住駅の西側ではみかけないのも気になっていました。駅前の横断橋にエレベーターがついたのは荷の多い旅行者にとっても非常にありがたいです。

いつもお世話になっています♪
私も昔バックパッカーでカオサンに滞在していたことありますv-222カオサンにとっても「ザ・ビーチ」での取り上げ方は知名度は上げた反面おそらく物騒な印象を植え付けた迷惑なものでもあったんではないでしょうかv-17
私たちも「山谷」の観光を通したまちづくり、頑張っていきたいと思います。逆に私たちのような地元業者が放任で観光地化していってしまう方が無法地帯になる可能性が高くなると思いますんで共に能動的に活動出来たら、と思っています(^-^)
山谷の健全なまちづくり、がんばりましょう★
あと、リンクありがとうございました(*^-^*)

たつ

カオサン、ヤワラと日本を頻繁に往復してますが、山谷のカオサンは大袈裟でしょ。タイの平均所得と日本の平均所得税は全然違います。カオサンなら安いところで150円くらいで泊まれるし(冷暖房なくて、セキュリティーも問題です)。カオサン、つまりタイですね。なぜ、バックパッカーが集まるのかと言うと「物価が安いからです」。タイは所得が低い人もプラン次第で安く
滞在できます。
しかし、日本は物価自体高くて、諸外国からすると観光地、娯楽も乏しく、敷居が高いので、バックパッカーと言えど、それなりにお金が掛かります。
まず、山谷がカオサンみたいになることはないと思います。ちなみにバンコクは年度で言うと世界で、毎回2.3位くらいの観光地です。

 コメント投稿ありがとうございました。世間で言う「山谷 カオサン化」とは、日雇い労働市場とその関連する業種が集まる、とても特殊な街“寄せ場”にミスマッチな外国人が集まってきたことで広まった言葉だと私的には理解しています。近年、外国人旅行者が急激に多く集まってきたことを「カオサン化」と表現しているに過ぎません。バックパッカーが集まるという意味ではないのです。

 以前、山谷地域で外国人旅行者を恒常的に泊めている11軒の宿で行った属性調査がありました。その調査で分かったことは、山谷で多い外国人はアジア系ではなく欧州系で、それもフランス人が多かったことでした。そのことを『ほていや』のブログで紹介したら大変な反響がありました。

 私が過去に大勢接してきた外国人旅行者のことを思い出してみると、山谷に来る外国人は割合的にはバックパッカーは少なく、観光や商用で泊まりにくる普通の自由旅行者が多いです。
 彼らは海外から日本へ旅して来る人だけではなく、日本在住の、例えば留学生、日本国内で働いいる研修生や外国語の先生などが東京やその周辺に用事があった時、安く泊まれる宿を求めたら「山谷」だったという感じです。

 コメントの内容で賛同出来ない点がありました。①日本は物価が高いということと②観光地・娯楽が乏しいという二点が気になりました。

① は、確かにアジア諸国から比べれば日本の物価が高いわけですが、すべてが高いわけではありません。特に寄せ場と言われるエリアは物価が安く、宿泊代以外でも値段の割に食べ物も量が多いなど物の値段が安い特徴があります。お客さんの中には、ネールアートの部材や電子楽器に使う部品を買い付けにリピートする人も多数見掛けます。これらは「日本だから来日」という意味がそこにあるのだと思います。聞くと質の良さの割に値段が安いと言っていました。

② の方ですが、一般旅行者や外国人を泊めてきて気が付いたことがあります。それは、日本人は日本人の良さや自分の住んでいる街のすばらしさに気付いていないということです。特に山谷は、既成概念化した過去の悪い街のイメージがあって、自分たちでも寄せ場文化の良い点を知ろうとしません。
 他にも山谷地域には埋もれたままになっている地域資源や観光資源が数多く溢れているのに我々がそれに気が付いていないだけです。銭湯や大衆食堂が、足を伸ばせば駅ナカもデパ地下がいい例でしょう。日本政府観光局などの統計調査でも分かるように、外国人の興味は日本食だったり、日本の漫画・アニメ文化から武道など等…、日本だからこそ、そして日本に来るという深い理由を持った人たちの中で泊まる行為に大金を掛けたくない人が山谷に集まってきます。「山谷 カオサン化」の真の意味はそこにあるのだと私は考えます。

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